創作全般よっこらしょ

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嘘つき姫と盲目王子 二次創作小説 Vol.02 「ありがとうの先に」

充電切れの一日

こんばんはー

本当は、いろいろと活動しないといけなかった今日ですが

ほぼ充電切れな感覚で、内部電源も残りわずかなともみです

 

エヴァで言ったら、こんな感じ

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いや、ここまで派手じゃなくても大丈夫でしたがw

 

あんまり関係ないですけど、エヴァのフォントってかっこいいですよね

ネットに転がって、落ちてるかしら?

気力があるときに探してみよー♪

 

と言うわけで、嘘つき姫と盲目王子、二次創作小説02

更新いたします

 

 

 

ありがとうの先に

(このカッコ、本当に大丈夫かな……)

 

城下町、広場の噴水前。
時間を気にしつつも、わたしは今日のコーデに自信がなかったの。
とは言え、ボーダーのTシャツとワイドパンツって言う。
まあ、手抜きとも取れる格好。

 

そう。
今日はお忍びで、王子と。
で、でで……。

 

デートだよう!

 

うあ。
きっとわたし、あたまから湯気出てるな。
それにしても。

 

王子、ちょいとばかり遅いんでないかい?
わかるけどさ。
こっそりと、お城から出てくるわけだから。
わたし以上に、いろいろと大変なんだろう。

 

わたし?
ああ、それこそいろいろあって。
今じゃ、ごくフツーの。
そこいらへんに転がってる、女子のひとり。

 

――なんて。

 

本当はわたしにも、諸事情あってさ。
フラフラしているわけにも、なかなかいかないんだけどね。

 

でもねでもね?

 

重たい事情を抱えているのに。
王子はそんなわたしを。
わたしを、選んでくれたんだぁ……。

 

てへへへ。
でへへへっ♪

 

いいよね?
ちょっとぐらいノロケたって、いいよね?

 

 

 

「お待たせ、姫」
「ホントに待ったぞ」

 

あれからかなり時間は過ぎて。
手持ち無沙汰のまま、噴水を何周したかわかんないくらい。
ここは、彼女として大いに文句を言いたいところだけど。

 

ダメだなあ。
王子の姿をみたとたん、イライラも吹き飛んじゃった。

 

「バレなかった?」
「うん。ボクももう慣れてきたよ」
「そかそか」

 

女子は、と言うかわたしは根が単純。
一生懸命、お城から抜け出て来たって言う。
そんな王子を、簡単に許しちゃった。
だって、好きなんだから仕方がないよ。

 

と、イイワケのわたし。

 

「ね、王子?」
返事を待たずに、わたしは王子の左腕に身を寄せてくっついた。
「わ!」
「なーにそれ。彼女がひっついてるんだぞ?嬉しかろうて」
「い、いや。姫……」
「『イヤ』なの?」
もっとひっつくわたし。

 

「ちが、う」
「?」
「そのっ。姫!むねっ!!」

 

かあああああ。

「ご、ごめんね!」
「ボク、こそ……」

 

 

 

城下町の裏道を、仲良くおててつないで歩いてるのだ。
不器用な王子だから。
デートプランなんて、お任せできないし。
わたしがいろいろと決めちゃったほうが、話は速い。

 

そ、それにしても……。

 

さっきのことを思い出しちゃう。
まあ、わたしの胸なんざ。
Aカップにも届かない、ちっぱいの中のちっぱい

 

『キングオブちっぱい
なんだけどさ。
ちょ、ちょっと。
恥ずかしかったよ、うん。

 

歩きながらの会話が、一旦途絶えて。
(やっぱり、男子は。その、おっきい胸のほうが。好きなのかな)
とか、思い始めちゃった。
うん。王子だって、男子だもんね。

 

(通販で買った、盛りブラ。着けてくればよかったかな?)
むむむ。難しい。

 

「あ、そこの角のはず」
「え?ああ、近かったね」

 

王子の言葉で、我に返った。
プランは決めても、どーにも地図が読めないんだ、わたし。
だから王子に、
るるぶ城下町 盛夏編』
を手渡して、ナビ頼んでたの。

 

目的のお店は、いわゆる甘味処さん。
今日のメインは、そこのかき氷なの。
庶民の味を、王子にも。ってね。

 

 

 

「すごいなあ、雪みたいだ」
「でしょでしょ?この氷、ふわっふわなんだよ?」

 

わたしは宇治金時、王子はド定番のイチゴ。
『いただきまーす!』

 

んー。たまんないっ!
暑い夏には、これだよねー。
夢中でがっつきながらも、ちらと王子を見たら。
真剣な表情で、かき氷と格闘してる。

 

(かっわいいなあ)
その、かわいい王子の彼女だもんね、わたし。
(まいったか!)
誰にともなく、ちっぱいを胸張りたい気分。

 

「口の中が、凍りそう」
「いっぺんに食べ過ぎなんだよ、王子は」

 

そんなところも。
す、すき。だなあ……。
不器用で、かっこつけてなくて。
正直者で、ウソがつけなくて。

 

王子のこと。
もっと好きになっちゃうよ。

 

 

 

スタートが遅かったから。
甘味処を出たら、もう日が暮れかけてた。

 

「今日はありがとう、姫」
「んーん。楽しめた?」
「すっごく」
「ん。良かった」

 

本当はもう、王子はお城に帰らなきゃならない。
だけど。
王子を独り占めしたくて。

 

わたしはまだ、バイバイを言えずにいた。
んーん。
バイバイなんてしたくない。
このまま……。

 

このままずっと、一緒にいたいよ。

 

無邪気に、ちょっと首を傾げている王子を。
真正面から見られなくなって。
わたしは、視線を落とした。

 

「姫?」
「うん?」
「また、会おうね」
「うん」

 

ヤだな。
こんなわたし、すごいヤだ。
ワガママなわたし、わたしがイヤだ。

 

「あ、そうだった」
独り言っぽい王子に、わたしは顔を上げてみた。

 

「これ、よかったら」
王子はわたしの手を取ると。
小さなお花があしらえられている、髪留めをぽんと置いてくれた。

 

「かわいい……」

 

「そ、そう?よかった。どんなものを喜んでもらえるか、わかんなかったし」
「王子が、選んでくれたの?」
「う、うん」
「お店、ひとりで入って?」
「うん」

 

嬉しさがこみ上げてくる。
こんなヘアアクセを売っているお店に、ひとりで買いに入ってくれたなんて。
そして。
選んでくれた、なんて……。

 

王子ぐらいの男子だったら、きっと。
めちゃくちゃ恥ずかしかったよね。

 

嬉しい……。

 

 

 

「ごめんね。わたし、なんにも用意してなかった」
噴水広場の片隅にあるベンチで。
わたしは早速、髪留めを着けてみたんだ。

 

「いいって。姫は今日のかき氷屋さん、選んでくれたんだもの」
「ありがとう」
「こちらこそです」

 

ちょっとおどけて言う王子が。
愛おしくてたまらなくなった。
わたしは、勢いに任せて。

 

♡♪

 

ちょっとだけの、ついばむようなキスをした。

 

「姫……」
「え、へへ」

 

そして、お互いに下を向いてしまう。
まだまだだなあ、わたしたち
なんて思いながら。

 

大好きだから、王子。
いつか。
いつか、ずっと一緒にいられるように。
そんな関係でいたいね。

 

未熟者なのは、お互いさま。
ゆっくり熟していきたいね。

 

大好き、よ。

 

(ありがとう)

 

 

 

おしまい

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最後までお読みいただき、本当にありがとうございました