創作全般よっこらしょ

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嘘つき姫と盲目王子 二次創作小説 Vol.10 「いつかの日の、そして」

書いてみました

続けまして、こんばんは

少し幻聴が来始めた、メンタルよわしのともみです

 

お別れのお話、書いてみました

お付き合いくださいませ

 

 

 

 

いつかの日の、そして

王子の手を引いて、歩く。
ときに速く、ときにゆっくり。
体調を考えつつ、無理のないように。

 

乗合馬車が、この辺を通っていないのが。
とても悔やまれる。
ちゃんと、手配すればよかったんだ……。

 

でも、今は嘆いてもしかたがない。
あと小一時間で、やすめる町に着くだろうから。

 

「もう少しだから」
「うん……」

 

王子の息が上がってる。
でも、わたしにはどうしようもなくて

 

 

突如、ガクン、と。
右腕に衝撃がきた。

 

王子がくずおれて、倒れてる!

 

「しっかり、王子!」
息が荒い。
とりあえず、水を。
可能だったら、飲み薬も。

 

わたしは、王子の身体を支えながら。
水分補給をなんとかさせて。
先だって処方された、おくすりを。
飲んでもらおうと、がんばって試みる。

 

 

「おう、じ!王子!」
ガッと。
王子が喀血した。

 

こんなときは、とにかく支えて。
揺すったりしちゃダメなんだよね?

 

(王子。絶対にわたしがたすける。絶対に!)

 

口元の血を拭いてから、どうにか片脚を立てて身体をそっと横にさせた。

 

「姫……」
「うん、うん!」
「ごめんね……」

 

なんで。
なんで、こんなときに謝るのよぅ。

 

「王子、おくすり飲もう」
わたしはつとめて明るく強く言った。

 

「――いいんだ」
「良くないよぅ。王子……」

 

ダメだよ。
泣いちゃダメ。

 

 

「ボクはもう、王子じゃない。ただのニンゲン、キミの夫だよ」
「そうかもだけど、王子は王子なのよ……」
泣いてても、どうしようもないのに。
滂沱と涙があふれてくる。

 

「ねえ、姫」
「うん?」
「いろんなこと、あったね」
「やだよー!そんな、思い出話……」

 

王子が、苦しそうなのに笑顔を浮かべて。
続けないで。
もう、これ以上続けないでよ……。

 

「ありがとうね」
「やだ!こんなのやだよ!」

 

微笑みをたたえている、王子。
なんでそんな。
透き通った笑顔なのよ……!

 

 

寿命の差は、もちろん。
森を出るとき、魔女に確認された。

 

こんなの。
ずっとずっと、ずーっと先のことだって。
わたし自身を、ごまかしてきた。
王子が次第に、衰えていくのを。
見て。
見ていないフリをして。

 

そんなツケが、一気に来ちゃった。

 

やだよ……。
お別れなんて、それが。
『いつかの日』が、今日だなんて。
いやだよ……。

 

 

まだ。
ほら、頬があたたかいよ?
身体だって、かたくなんてない。
目を閉じて、笑っているだけでしょ?
そして、いつもみたいに。
『姫』
って。
呼んでくれるんでしょ……?

 

王子……。
おねがい、口を開いて。
なにか話して。
王子の大好きな、お花のお話。
また聞きたいな。

 

『そっかあ』

って。

 

返事をしてよ、おねがいだよ。

 

 

いつかの日の、そして。
わかってた。
覚悟はどこかで、するべきだったけど。
わかってた。

 

わたしよりも先に、王子がみまかること。
王子を、送らなきゃならないこと。

 

 

寿命はだれにも変えられない。
王子はニンゲンの生を、まっとうしたんだ。

 

わたしは。
わたしは……。
わたしは、森のバケモノの生を。
まっとうするしかない。
まだまだ生き続けなきゃ、いけない。

 

 

王子。
出会えて、本当にしあわせだった。

 

『ありがとう』は。

 

わたしの。
わたしの、とっておきのお礼だったんだよ。
先に言われちゃったね。

 

だから、今。
万感の思いを込めて。

 

 

ありがとう

 

 

 

 

おしまい

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もう当分、書けないッスw

書いてて、

「もうやめよう。途中で書くのやめよう」

って思ってましたw

早くに鬼籍に入った、両親のことを思い出しちゃったりしてね

 

いやもう、当分の間

お別れの話は書けないです

 

次に書くのは、絶対に

底抜けに明るくて、おばかちんな話にしようそうしよう!

 

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました