創作全般よっこらしょ

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「私には爪がある」 嘘つき姫と盲目王子 二次創作小説

こんばんはー

 

結局のところ、お洗濯を諦めて

だったらせめて、ブログを更新しようそうしよう

と、生産性の高いこと(自己欺瞞大いに含む)に取り掛かります、メイクと創作は恥の切り売りらしいともみでっす

 

いっつも前置きが、あっち行ったりこっち来たりして長いので

今日ぐらいは、サクッといきますかー

 

 

 

 

 

私には爪がある。

とてもとても、鋭い爪だ。

そこいらに生えている、低木や樹木はもちろんのこと。

本気モードにギアシフトすれば、巌(いわお)だってバターのように切り裂ける。

 

そんな。

そんな、危険極まりない。

まさに「諸刃の剣」的な、爪。

 

そう。

愛する王子を、盲目にさせてしまったのも。

 

この、爪。

 

「うん、ホントはもうさ。いらないって」

『でもでも、それがあってのオオカミちゃんじゃない?』

「そうかもだけど……」

 

ケータイ越しの話し相手は、森の学校の同級生、カナメイシちゃん。

私のような、波乱に満ちた人生(バケモノ生?)を歩まずに。

こんど、おめでたいことに第一子を授かったんだって。

 

お相手?

ひとつ後輩の、土竜(もぐら)くん。

 

あー、らしいなあ。

そう思ったね、私。

 

だって。

着実に、しあわせへの道を歩んでない?これって。

たしかに、波乱が万丈ドキドキに満ちた人生ではないかもだけど。

 

結婚して、お子さん生まれて。

あー、母親になっていくんだなぁ。

それはそれで、確固たる幸福のひとつだわなぁ……。

 

『オオカミちゃんはね、むかしっからどこか、自罰的っぽいよ?』

「自罰的?」

『うん。ヤギ先輩のときもそう。――あ!イヤだったらごめんね』

「あー。さすがにもう、大丈夫」

『そっか。じゃ、大丈夫を信じて、もいっこ』

「うん?」

『王子さまのこと』

 

今では、キチンとお付き合いできている。

大好きな、んーん。

私の、最愛の相手。王子。

 

「だから、ね」

『だから、いらない?』

「――うん。私には、ちがうな。私はこの爪を、持ってちゃいけないんだよ」

『そーれーがー』

「あ。自罰的、か」

『そー。自信持って……。って言っても、難しいかもだけど』

「うん」

『思い出して。その爪で、窮地を数限りなく。切り抜けたんでしょ?』

「んー」

 

乗らない返事の私。

ケータイ手にしたまま、ベッドに転がり直した。

 

『今じゃ、ちゃんと。失明も治ったんだし』

「うん」

『もちろん、大切なものとの引き換えは、私も知ってるよ?森生まれだもん』

「うん」

『オオカミちゃんは、自分で思うよりもずっと。ステキなことしてるし、ステキな人生歩んでるなぁ、って。思うことある』

「私が?」

『そー。たしかにね?一般的、って言うフィルタを通したら。私が、ステキな人生なのかもしれないけど』

「そう思う」

 

左手が疲れたので、右手に持ち替えた。

そのときに、ふと見えちゃった、爪……。

 

『オオカミちゃんも。恋愛たくさんしてきてさ。で、このひと!って決めたわけじゃない?』

「なんか、成り行き上、って感じが強かったけどね」

『それでもいいのよ。成り行きだろうが偶然だろうが、必然だろうが』

「――?」

『そこまで進んで。たくさんの選択肢から、自分の思いで決めたこと。でしょ?』

「うん……」

 

わかる。

わかってると思う。

一番。

私が、わかってると思う。

 

『王子さまはきっと、すっごい感謝してると思うよ。だってさ?』

「うん?」

『ウソをついてまで、人生っていう船に乗ってくれたんだもん。誰あろう、オオカミちゃんが』

「私、そんなガラじゃないよぅ」

『いーや。そんなガラです』

「むー。そっかなぁ」

 

『もっとね。安心していいの。頼っていいの。王子さまでも、どんなひとでもね』

「頼る?」

『そう。頼って、頼られて。それで進んでいく。これは、バケモノたちだろうがニンゲンたちだろうが。おんなじことだよ?』

 

カナメイシちゃんの口調が、だんだんやさしく、柔らかくなってきた。

あぁ、そっか。

なつかしいな……。

 

「重たいおんな、って思われないかな?」

『まーさかー』

「そ、そう?」

『うん!もし、万が一そうだとしても。王子さまはよろこんで、その重たい荷物をはんぶんこしてくれるよ』

「そんなもん、かな」

『ですとも!』

 

カナメイシちゃんの、やさしくひとなつっこい。

そんな笑顔が、ときを経たにもかかわらず、私の脳裏によみがえった。

 

「私。――爪」

『うん、いいのよ。そうね……』

「?」

『定期的に磨いて、研いでおきなよ』

「どうして?」

『護りたいんでしょ?自分を、王子さまを』

「ん」

『立派な、本当に立派で誇らしい爪じゃない。嘆くことなんて、どこにもないよ?』

「うん」

 

変わらないなあ、カナメイシちゃん。

 

「なんか、ありがとね」

『いえいえー。これくらいなら、いくらでも。――あ、おかえりなさい』

 

後半は、誰でもない。旦那さまに向けられた返事だろう。

 

『旦那、帰ってきた。またはなそー』

「う、うん!ごめんね、すっかり話し込んじゃって」

『何を言うか。チミはわたしの親友ぞ』

「ありがとう。またね」

『うん!こんど、甘いものでも食べようよ!またねー』

 

通話を終えたケータイを見て。

うわ。三時間近く話してたのか、と、改めてびっくり。

だけど。気持ちが、ふんわりあたたかい。

 

私には爪がある。

ムダに、何かを屠るためじゃなく。

私自身と、最愛のひとを護るために。

 

この爪を持つこと。それを。

限りなく終わることのない、いとおしさにつなげていこう。

 

 

 

 

おしまい

 

 

 

 

長くなっちゃいました、ごめんなさい

せっかく、姫(オオカミね)もお付き合いしているんだから

しあわせのことを、片鱗でも考えていたらいいな

 

そんなことを思いつつ、書きました

 

あ、そうそう

内輪ウケみたいになっちゃいますが

姫とヤギ先輩とのお話、リンク貼っておきますね

 

tomomikoshigaya.hatenablog.com

 

あ。やっぱまだ、画像が消えてるわ

 

と言うわけで

〆は、姫の公式設定(本当に公式よ?)から、一枚

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↑これぞ、イッツ姫の本気

あーもー、かわええのうかわええのうたまらんのう

 

 

最後まで読んでくださり、ありがとうございました