創作全般よっこらしょ

二次創作とか、詩など 日常のことも (現在一部の記事に画像障害が発生しています)

拝啓、読んでくださる皆さま (一次創作 詩029)

拝啓

 

はじめまして

長くなるかもしれませんが、お手紙を書かせてください

 

ボクは極秘の扱いでした

ボクの存在は秘匿とされていました

 

名前は

「マニ30 2012」

これだけで、あぁキミかと

わかってくださる方

 

相当に鉄道がお好きですね

 

マニ30は、ボクの名字のようなもの

2012は製造番号になります

言わば、下の名前ですね

 

とは言え、2000台も造られていません

ボクのみで暖房を働かせられたので

2000の数字が付きました

 

頭文字の、「マニ」を分解してみると

「マ」はボクの体重

「ニ」は荷物車であることを示しています

 

ようやく説明できそうですね

 

ボクは、上記の通り荷物車として活躍しましたが

運んでいたのが、これまた大変なものでして

まあ、引退したのでぶっちゃけて言いましょう

 

荷物はお金、現金

現金輸送車の鉄道版

だったんです

 

なので、鉄オタさん鉄子さんの間では

「コイツを撮影すると、フィルムを取り上げられる」

とか

「カメラを向けただけで、黒い服の人々に取り囲まれた」

なんて

もう、都市伝説クラスのウワサ話が存在していたんですよ

 

でも、それももう

懐かしいむかしのお話になってしまいました

 

ボクは現役時代、寂しかったんです

乗っているのも日本銀行の行員さん

国鉄の職員さんも、ボクへの立ち入りが制限されていて

 

そう

まるで、忌むべき存在のように思われ、扱われていました

本当に、本当に寂しかったんです

 

その都度、ボクは自身の役目を思い出し

その都度、自分を奮い立たせ

がんばり抜いて走りました

鉄道に頼らない、陸路の現金輸送が確立されるまで

 

今のボクですか?

兄弟が一両だけ、北海道函館に保存されているはずです

もちろん、秘匿とされていた

内部の様子も、見学できます

 

長いお手紙になりました

ボクを思い出して、見学に来てね!

なんてムチャは言いません

ただ

「ボクみたいな子がいたんだ」

と言う事実を

 

どうか、どうかあなたのあたま、こころの隅っこにでも

置いてやってください

 

これから、本格的な冬が到来しますね

お身体など、お変わりなくご自愛下さい

 

敬具

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Pinterestより