創作全般よっこらしょ

二次創作とか、詩など 日常のことも (現在一部の記事に画像障害が発生しています)

同じ景色を(一次創作 SS06)

「なあにこれ? 雪だらけだね」

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急行「天北」

興味を持った証拠、キミは鼻に手の甲を当てながらそう言った。

「んー、むかし貧乏旅行したときの写真」

「さすが鉄オタ」

そう言うキミも、りっぱな鉄子になりつつあるよ。まあその言葉は飲み込んだ。

「北海道」

「当たり」

「雪だもんねえ」

判断材料がそれだけと言うのも、いささか心許ないけれど。

「これもそうなの?」

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自然に包まれた、キハ22ほか

「うん。なつかしいなあ」

「で。北海道のどこ? 広すぎるんだよね」

天北線(てんぽくせん)」

「存じ上げないのである」

「もう、廃線だからね」

「なんだー」

あまりがっかりせずに、キミは言った。空想旅行のほうが好きなキミ、無理もないのかな。

オホーツク海に沿うように走ってて。きれいな景色だったよ」

「それは、見てみたかった」

「こんな駅ばっかりでね」

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飛行場前仮乗降場

「なにこれ!?」

「ホーム……?」

「それはわかる」

「こんな感じ。正確には駅じゃないんだけど」

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飛行場は見当たりません

「なんで? ホームひとつだけでも駅でしょ?」

「えーっと。詳しく話すと長くなるから。駅の格下駅、みたいな?」

「あらまぁ、かわいそうな。格が下なんて」

小さく鼻をふくらませる。本気で駅のことを心配しているところが、かわいくもあり愛らしくもあった。

Googleな先生に聞いてください。『仮乗降場』でわかるはず」

「はいはい。それにしても、むかしから変な旅行ばっかりしてたんだね」

「あーね。言うでしょ? 『時間があるときは金が無い』って」

「貧乏だったもんね、いまでもか」

一言余計だったが、それがまあキミだ。

廃線跡旅行でも計画する?」

「するー! めっちゃおもしろそう!」

花が咲いたように笑うキミ。このためだけでも、アルバム整理していた価値はあった。

(これは見せないでおこう)

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多くは、サイクリングロードになっています

どうせ見るなら、キミとその場で。同じ景色を見ていきたいから。

 

 

おしまい