「今日こそ」 嘘つき姫と盲目王子 二次創作小説
「今日こそ」
そして彼は心の内で大いなる決心を下すと、勇気凜々たる表情勇ましく、城中を後にしてきたのであつた。
どーわー。
アレだよね、小説って書けそうだけど、そうそう簡単には書けないものだね。
ボクは書いていたノートをパタンコと閉じて、むむむと伸びをした。いや、別に誰に見せるとかじゃなくて、ね。姫との今後のこと考えてたら、小説化してみるの良いかもとか思っちゃって。それで。
姫になら見せても良いかなー。うーん。ちょっと恥ずかしいけどさ。
なんとはなしに、スマホをいじくる。カメラロールは姫との写真がいっぱいだ。照れる思いも抱きつつ、指先でついついって見てみる。
(そだ)
今日こそ、姫をリードできる。そんな積極的な彼氏になってみよう。ほら、たいていいっつも、ゲーセンだったりなんだったりと、姫に連れて行ってもらってるから。ボクだって、やる時には立ち上がるんです!
待ち合わせ場所、いつもの噴水前広場。なんとも珍しいことに、姫が先に来てた。ハイウエストのワイドパンツに、ボーダーのTシャツ。ボク? 身バレしてるのは仕方がないので、デニムとTシャツでさっくりまとめてみた。
「早いね」
「うん? なんか寝てたら、王子からたくさんLINE来たよ?」
「でも起きてくれたんだね」
「そりゃ……」
ちょっと顔を赤らめる姫。なんだどうした。いつもと全然、感覚違うぞ。
「行こっか、とりあえず」
「ん。どこ?」
「暑いからお茶にしよー」
「はあい」
ここはね、もーね。手を繋ぎますよ! ボクは生まれ変わったちゃんなんだから!
ずんかずんかと城下町を歩く。いつもの喫茶店だけど、今回は一味違う。姫に奥側の席に座ってもらって、ボクが通路側。
「水出しのアイスコーヒーが、すごくおいしいよ」
姫にオススメのを言うなんて、初めてのことだ。姫が目を、パチクリさせてる。
「おーじ?」
「うん?」
「どうかしちゃった?」
「いやいや、大丈夫さ」
「おーじが、『さ』、って言った……」
姫が汗をたらしてる。冷房が店内ではきいてるので、暑さではないだろう。
「そ、そんなにヘン?」
「んー、こう言って良いかわかんないけど」
「う、うん」
「無理してカッコつけてない? なんか『オレはグイグイ行く!』って」
「あ。ですか……」
なんと言うことだ。姫にはバレバレだったんか。
姫はにっこりすると、
「無理なんてしないで。いつもの王子が一番」
「うん……」
「今日こそ、引っ張って行きたくなっちゃった?」
「ん、た、たまにはね。って」
「その気持ちだけで充分、嬉しいよ」
「ありがと」
やっぱり姫は姫だった。年上なのもあるって思うけど、さざなみのようにやさしさが伝わってくる。
(自然体のボク、で)
今日こそって、すごい思ったけれど。
小説ノートに書くぐらい、気合入れてみたけれど。
一緒に笑い合えるのが、一番大切だよね。
「おーじ」
「うん?」
「大好きだよ!」
「ボクも!」
おしまい
こんばんはー。
暑さで崩れまくりのともみです。
今回は姫王子の小説ですが、実はこれ、Twitterのお友だち、コーヒー牛乳さんからの提案でして。つか、リクエスト? でして。
「姫をぐいぐいリードする王子に萌え!(抄&意訳)」
とのことだったんですね。
「書くー!」
と、わたし書き始めてみたわけですが。いつもと(わたしの)姫王子が違っていて、すっごい難しかったです。
なんとか書き進めていたんですが、途中で力尽きてしまいました、ごめんなさいー。
でも、この先もさまざまな方のリクエストとかありましたら、書くの挑戦していきたいので、どうかお寄せくださいね!
次回はどんな姫王子にしようかな。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。