創作全般よっこらしょ

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第三者委員会 「嘘つき姫と盲目王子」 二次創作小説

三者委員会

 

 

ちょっと落ち込んだ。
いや、けっこう落ち込んだかもしれない。
と言うのも、だ。
わたし、前に話したかもだけど、合唱部入ってるじゃない?
そこでさー、改めて他の部員たちの歌声、聴いたわけよ。
今までだって、聴いてたよそりゃ。声を合わせなきゃ合唱部にならんし。
だけどまあ、なんて言うか。
ほとんど気にかけてなんて、いなかったんだ。
もちろんわたしの歌声は、ギザギザだ。承知してる。
まだ、ケチな森の魔女から、歌声を返してもらってないし。
それでもなお、わたし根拠のない自信があったんだな。
(ギザギザだって、わたしの歌はそれなりのものよ!)
みたいな。
それが、さ。ちょいなと自信無くしかけたわけだ。

 

「何かあったの?」
翌朝、登校途中におーじに聞かれた。
「んあ?」
「めっちゃ憔悴し切った顔なんですけど……」
「んあー。明け方まで起きてたから」
「またオンラインゲーム?」
「んにゃ」
Twitterずっとやってた?」
「ちぎゃ」
「んー。わかんない」
この程度の選択肢しか用意してないなんて、ちょいとばかりおーじの愛を疑うが。
まあ、仕方がないか。
「発声練習」
一緒だったおーじの歩みが、ぴたりと止まった。
「医務室で、熱測ろうか……?」
「勝手に病気にせんでくれ」
「でも、姫が」
「でもでもかもでも、する時はするよ」
「そっかー、それはお疲れさまだったね」
「んー。なんかさ」
「うん」
再び歩き出す。おーじが手を握ってくれた。他の生徒に見られちゃうけど、今朝はそんなん些事中の些事だ。
「わたし、部活の足引っ張ってるな、って」
「誰かに言われたの?」
「んーん。自己分析」
「ボク、あんまり合唱のことはわかんないけど」
「うん」
「なんて言うかさ。補完し合っての部活なんじゃないの?」
「苦手な部分を?」
「そそそ。それのほうが一体感って出る気がするけど、違うのかなあ……」
軽く首を傾げるおーじ。
「わかるけど。実際に歌ってると、わたしのギザギザボイスで和が乱れる。ような」
「難しいんだね」
ぎゅって、手を握ってくれた。この辺りがおーじを好きな理由だ。
「でも、いつだって応援してるよ」
朝から、愛してやまないお相手にこんなこと言われてみ? 下手したら泣くよ。
「ありがとう」
素直にわたしは言った。
「あ。今日も部活あるよね?」
「ん? うん」
「じゃあ、ボク見学、じゃないのか。聴学? に行く」
「いいの?」
「うん。第三者委員会の方が、公平な判断できるでしょ?」
いつ委員会が発足したのかはナゾだが、わたしはうなずいた。
「繰り返しだけど。いつでもどんな時だって応援してるから、姫のこと」
「ん」
思いっきりおーじにキスしたかったけど、ぐっと耐えた。
なんか。本当にありがとうだよ、愛しい王子さま。

 

 

おしまい

 

 

めちゃくちゃにお久しぶりです。

すっかりnoteの方へ移行してしまいましたが、ちょっと今日は書いてみたので、こちらにも載せたいと思います。

頻繁な更新はできないと思いますが、これからもよろしくお願いいたします!

仲良し、仲良くね