「けものに至る病」 嘘つき姫と盲目王子 二次創作小説
こんばんは
今日は午後になって調子を少し取り戻した、それでも暑くてふぎゃあなともみです
えーっと、今回は
Twitterの方と、ねこみみさんがサーバー主のDiscordに載せました、姫王子の小説になります
まあ、おんなじなわけですけど、ちっちゃい字で読みにくいより、ここにも載せてひろびろーとした方がいいかなあ、なんて
おんなじネタで繰り返すの、なんか前にもありましたね
お許しください
ではでは、前置きはこんなもんにして、スタート!
「けものに至る病」
戸惑うように、王子は微笑んだ。だけど視線は、まっすぐにわたしを捉えてくれている。
「大丈夫だよ。心配性なんだなあ」
「うん……。かな?」
「死んじゃうわけじゃないんだから」
「だけど。わたしのせいだよ」
柔らかく王子は笑った。
「違うよ、姫のせいじゃない。どうしても誰かの責任と言うなら」
「うん」
「ボクたち、ふたりだよ」
「ん……」
とある朝。王子が少量だけど吐血したの。隠しておきたかったみたいだけど、わたしがお城のお小姓さんにすぐに連絡して。即日に検査を受けたのね。城内にある医務室で、可能な限りの精査をしてもらって。その間わたしはもう、気が気じゃなかった。
そして、お医者さまが言うには。
「生命に関わるご病気ではありません」
「よかったー」
わたしは息をついたんだけど。
「ですけれども……」
「教えてください。ボク、いやボクたちなら大丈夫です」
「はい。わたしも!」
「では忌憚なく。このままですと王子は、姫と同様、オオカミの姿になってしまうでしょう」
『!?』
「ただのオオカミではなく、その。姫と同じく、バケモノとしてのオオカミに」
「オオカミ?」
「バケモノ?」
王子とわたしは、耳を疑いつつも聞き返した。
「少々申し上げにくいですが。えー、おふたりは避妊具など使われず、夜の生活を長い間、営まれておりましたな」
「ひにんぐ?」
「えっとね、姫。そのー、ゴムのこと」
「あー!! は、はい……」
コホン、とお医者さまは咳払いひとつ。
「それによって、お子ができることは。大変に喜ばしいのです。ですけれど、王子。お口からかなり、姫の体液を含まれましたな」
わたしも王子も。お医者さまも。気まずい感じに真っ赤になる。
「それが、原因だったんですか?」
重たくちょっと恥ずかしい空気を、破るように王子が言った。
「はい。そのー、普通に性器同士でご性交されるぶんには、まずこのような心配は杞憂だったのですが。お口から体内に、長期間摂取されますと」
「オオカミ、と言うかバケモノになってしまう?」
「はい……。遠いいくつかの異国で、実例が確認されておりますゆえに。必ずとは言い切れませんが、可能性はとても、大変に高いと」
わたしと王子は、顔を見合わせた。照れてる場合じゃないと言うことが、ようやくわたしにもわかってきたんだ。わたしたちのえっちで、こんなことが起こっちゃうなんて……。
「だから、さ。とりあえずのところは、様子見してみよう」
「うん?」
「すぐに『けもの』化するわけじゃないって言うし。だけど、避けられないことでもあるから、今後のこともちゃんと考えよう」
「で、でも」
王子はやさしく、首を横に振る。
「姫が悪いわけじゃないんだって。おそらくこの国を去らないといけないことになるから。その前準備だね、必要なのは」
「おうじ……」
「そんな顔しないで、姫」
「だって、ここは王子の国なのに」
「だからだよ。だからこそ、ボクは姿を消さなきゃいけない」
「ごめん、なさい」
「ボクこそだよ。ごめんね、姫」
とうとうわたしは泣き始めた。こんな、ちょっとの不注意で。王子の運命がめちゃくちゃになって。しかもそれは、わたしの体液のせい。泣いたところで取り返しがつかないことは、わかってるんだけど。涙がとめどなく出てくる。
「姫。一緒に考えて、手伝ってくれる?」
「もち、もちろあたりまえだよお!」
「ありがとう」
やさしい王子の笑い顔。ちょっと戸惑いもあるけれど、安心をくれる最高の笑顔。わたしの泣き顔は、もっとぐちゃぐちゃになった。
「さ。いろいろ下準備とか必要だからね。頑張ろう?」
「うん……」
「そんな泣かないの」
心の隅っこには。
(王子がおんなじオオカミ、バケモノになってくれる!)
って言う、抱いちゃいけない喜びもあった。
でも、それ以上に罪悪感がつのる。
「これからも、よろしくね、姫」
「うん、わたしも頑張るから。ごめんね……」
「もう、ごめんね、はおしまい」
「うん、わ!」
王子がギュッて抱いてくれた。そのままちっちゃいキスひとつ。
わたしに。わたしに何ができるかな? 一緒に考えていかなきゃ。
たったひとりの愛している存在だもん、王子は。
それが通じたのか。もう一回、今度はひたいに小鳥さんみたいなキスをくれた。
(たぶん)おしまい
ここまでやってて、続き書くかどうか決めていません
なんとなく面白そうな感じになる気もするので、ほよほよとしつつ続きが思い浮かんだら、書いてみますねー
最後までお読みくださり、ありがとうございました