「思いを馳せたその先に」 わるい王様とりっぱな勇者 二次創作詩
いや、正直に言って
わたしは子どもを持たないだろうと
漠然ではあっても、そう思っていた
かつては殺戮をほしいままにした
この血にまみれた魔王のことなど
好いてくれるものは現れぬものと
そう思っていたからだ
ものごとはわからない
人生というものもわからない
明日のことなどわかるわけもない
今のわたしに娘がいるとはな
過去のわたしとて
想像もつかなかっただろう
その娘、ゆうに
どれだけわたしは救われた?
こころと言うものを取り戻し
やさしさを取り戻し
涙の意味を知り
思いやるこころを知り
ともにあることを知った
感謝しか浮かばぬ
わたしはしあわせだ
恐ろしほどにしあわせだ
かくも不思議なものか、生とは
運命の在り処は知らぬが
きっと、あるのだろう
身の上にかかる謝辞の先
思いを馳せたその先に