創作全般よっこらしょ

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「あなたと、キミと」 嘘つき姫と盲目王子 二次創作詩

あなたと、キミと

 

 

 

わたしにとっては、それこそふるさとで

懐かしさに少し、頬が緩む

いつも歌っていたあの岩場も

厚く茂った森の葉も

見覚えのある風景が、こころを温かくする

 

王子、ねえ

わたしはあなたから、数え切れないしあわせを

今でもこうしてもらっていて

なにか、お礼ができないかな

いつも、そう思っているの

 

 

キミと初めて出会ったのも

この森の、この岩場だったね

キミの生まれ故郷

あのときみたいに、今夜も

おつきさま、照らしてる

 

ねえ、姫

ボクはまだまだ、ちからが足りていないけれど

キミと同じ時間空間

過ごしていきたいんだ

決して揺るがない、ボクのこころうち

 

 

「王子」

「姫」

岩場に座って、わたしたち

体重を預けあった

心地よさそうに目を閉じるあなた

 

小さく歌ってみる

どう贔屓目に聴いたところで

やっぱり変わらない、ギザギザのうた

でも

あなたの口元が、やさしく緩む

 

 

キミのうたは、とてもとっても

やさしさと慈愛に満ちていて

こころのおくまで、すっと

入ってきては、馴染んでいく

あったかい

 

たしかにギザギザかもしれない

でもそのうた声は、キミから発せられると

空気にそうっと削られて

やわらかくまんまるになっていく

おつきさまと同じだね

 

 

「姫」

「王子」

どちらからともなく、口唇をあわせ重ねた

体温もそうだけど

やさしさと慈しみが流れ込んでくる

あいだにあるこの空間さえ

もったいなくって

さらに、さらにと身体をくっつけあった

お互いの体温がわかる

周囲が温まっていく

手をつなぎ、きつく抱き合った

つき始めた王子の筋肉

柔らかさが増してきた、姫の全身

「欲しいよ」

「うん、欲しい」

 

 

夜の少し乾いた風が

高くのぼったおつきさまが

森の木の葉ずれが

またたきあう星々が

みんなみんな、祝福してくれている

 

そのままそっと横になる

生え茂る、下草のしとねは

どんなベッドや敷布よりも

やわらかくそして

とけあうほどにぬくもりに満ちていた

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いつまでだって、手を取り合おう

 

 

最後までお読みくださり、ありがとうございました