創作全般よっこらしょ

二次創作とか、詩など 日常のことも (現在一部の記事に画像障害が発生しています)

「姫とボクの」04 嘘つき姫と盲目王子 二次創作小説

前のお話はこちら

 

tomomikoshigaya.hatenablog.com

 

姫とボクの 04

 

 

 

ただいまー、ってふたりで言いながら玄関ドアを開ける。
お魚は結局、サンマにしようとしてたんだけど、
「これが良さそう」
って姫の意見で、ホッケの一夜干し。なかなかに渋い献立になりそうな予感がしている。
「冷蔵庫は、わたしやるね」
「うん、お願い。お洗濯取り込んでくるよ」
「はあい」
買ったものを姫に任せて、ボクは荷物を置いてから庭に出た。うん、よく乾いてそうだね。
なんとなく鼻歌を歌いながら取り込みたかったけど、あまりに恥ずかしい気もして、うんうんと心でうなずいて、どんどんカゴに放り込んでいく。なんだかこれだけでも、嬉しいことだ。

「おわりー」
独り言。カゴを抱えてリビングに庭からどさっと。ちゃちゃっとたたんで、姫とゆっくりしたいな。サンダルを脱いで、ボクはまだ陽の差し込むリビングでたたみ始める。
ボクのはともかくとして、いまだに姫の下着をたたむ時はちょっとドキドキしてる。や、やましい気持ちじゃないよ? その、ブラはたたんじゃいけないってわかったし、ショーツは小さくたたみすぎてもいけない。ね? ドキドキでしょ?
(姫の、みんなかわいらしいな……)
女の子の下着なんて、そうそう見てきたわけじゃないから、ボクがこんな感想を抱くのも、きっと許されると思う。ごめんなさい、ちょっと嘘つきました。そうそう、じゃなくて。まったく見たことありませんでした。だからドキドキしてるのも許してよ。

ふと気づいたら、ボクは姫のショーツを手にしたままぼんやりしていたらしい。視線を感じて先を見たら、キッチンから姫がにやりんこと笑いながらボクを見てる。わたわたとボクは、急激に慌てる。
「これっ、その、あの」
「いいんだよー。いくら触っても、くんくんしても嫌いになったりしないよー?」
「しません!」
「えー」
「なんでがっかりするのよ……」
真っ赤な顔してるんだろうな、ボク。
「かわいいなあ、おーじは」
「そそそそ」
「焦ってるところが、もっとかわいい」
むふー、って感じで姫が言う。
「その、ごめんね」
「大丈夫だよう。そりゃ、興味も持つよね」
「うん……」
「だから、逆に嬉しいんだ」
「姫が?」
「うん。そんなに興味持ってくれてるのが、わたしとかわたしのものなんだなー、って」
「な、なんか。ありがとう?」
「んーん。ちゃんと素直に認めちゃうとこ、好きだよ」
「あわわ」
姫はそんなボクを見て、微笑した。
「お茶にしようよ」
「う、うん」
たたんだ山から、姫は自分の洗濯物をより分けて、
「王子のもあとでしまうから。お疲れさま」
「うん、その。恥ずかしいところ、見られちゃったね」
「いいよー。どんなだっておーじはおーじだもん。それに」
「うん?」
「もっと恥ずかしいところだって、見られてるからねわたし」
「はい///」
あたまから湯気出て、沸騰してる。ボクもう。

 

 

 

続きますー

次のお話はこちら

 

tomomikoshigaya.hatenablog.com

 

 

 

f:id:tomomikoshigaya:20210301183001j:plain

わたしだって、この時に恋してたんだ

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。